最も客観的な FXSuit ロスカット事件の解説

 FXSuit 大量ロスカット事件のおさらい


FXSuit 大量ロスカット事件とは

FX 業者である FXSuit を使用していた客が、2020/10/26 早朝にスプレッドが4円近く開いたことによる大量ロスカットが発生した事件である。

この業者は saekinomao 氏をはじめとする一部の日本人の手引きで「3すくみスワップ」と呼ばれる HYPE 案件のように勘違いされて扱われていたため、日本人客が大騒ぎすることになった。


この事件発生の経緯は少々複雑であり、順を追って説明すると以下の通りとなる。


FXSuit の 3 すくみスワップとは

saekinomao 氏は FXSuit 社の幹部と直接交渉することで、日本人向けにスワップが有利な特別口座サービスを実現させた (注 1)。

この背景には、海外トレーダーはトレードで稼ぐことがメインだが、日本人はスワップで稼ぐことが好きなこともあり、スワップ条件が有利な口座サービスを低行すれば、日本人客が呼び込めるというものである。

トレードがない分会社の手数料収入がなくなるが、そこは 30% という高い出金手数料を取ることでカバーしていた。


ただし、この提案には毒針が仕込まれていた。


通常は売りも買いも同額のはずのスワップが、EURUSD, USDJPY, EURJPY で売り買い数量が釣り合う買い方をすると、スワップがプラスになる組み合わせが存在することになった。つまり、スワップ金利を有利に歪めたがため、不正に利益を得ることができることになった。

この3通貨ペアが均衡を取った状態でスワップだけを取るやり方を「saekinomao 式スワップ」または「3 すくみスワップ」とよび、一部の人の間に知られることになった。


アフィリエイトプログラム

FXSuit 社はこの日本向けの口座を広めるため、アフィリエイトプログラムを実施していた (おそらくこれは saekinomao 氏の提案と思われる)。紹介者には口座金額の 10% が支払われる。この3すくみスワップを目的とした場合、損失がないままに利益が倍々増えていくことから、個々の入金額は比較的かなり多めであり、これがアフィリエイターにとってもかなりオイシイ仕組みとなっていた。

当の saekinomao 氏も自分の紹介で口座を作ると、Amazon ギフト券 1 万円をプレゼントするという企画まで作って、新規口座の勧誘がメインとなっていた。

このことから、アフィリエイターたちは「3すくみスワップ」「saekinomao 式スワップ」のみを売りにして新規口座開設者を勧誘し、FXSuit がまるで3すくみ専用サービスの会社であるという認識ができることになった。

特に 2020 年 の中頃に口座を作った者たちは、ほとんどこの経緯を知らず、FXSuit がスワップ金利で増えていくことを 保証しているという勝手な思い込みをしていたものと思われる。


Saekinomao 氏の失踪と新3すくみ

2020 年 5 月末、Twitter を中心に活動していた saekinomao 氏は忽然と姿を消す。同時期に、FXSuit 内で豪ドルを組み合わせたより利益率の高い3すくみの組み合わせが出てきて「新3すくみ」と呼ばれるようになった。

また、業者の違いあれど「かえる式3すくみ」や「アキラが考案したスワップ」など、実質的に同じ仕組みを自分がオリジナルだという者が乱立し、ついには saekinomao という名前がネットから消えた。つまり、この 3 すくみスワップが独り歩きし始めたのである。


「新3すくみ」がでるころには、日本人 FXSuit ユーザーはレバレッジ500 倍をフル活用し、極限までポジションを持つことで利益を追求していた。キワキワまでポジションを持つことで、月利は 60% を超えることになった。噂が噂を呼び、日本人は我先にと口座開設と勧誘活動に走った。中には借金までして3すくみにお金を投じるものまで出た。


事件発生

2020 年 10 月 26 日早朝、突如、日本人の口座がすべて残高マイナスの状態ですべてのポジションが決済された。理由は、夏時間から冬時間にシステムを切り替える際に、取引を停止することなく実施したため、一時的にスプレッドが 400pips 超開いたためである。

ほとんどの人が 500 倍のレバレッジをフル活用していたため、数千万円級の含み損でロスカットとなり、多くの人が夢見た無限ATMが突然消えることになった。


事件後の FXSuit の補償と日本人の勘違い

本件は、客観的に見えれば FXSuit に補填義務はない。だが、FXSuit は初期入金額を目安に口座残高を回復させるという暫定策を講じた。

しかし、多くの日本人はアフィリエイターや Twitter の情報から、「3すくみスワップ」の脳しか持っていない。火をつけた saekinomao 氏はもういない。

日本人にとって、もはや FXSuit の口座とは金利 60% の預金口座のようにしか思っていないのである。そのため、この事件に対して過剰な反応を見せ始め、詐欺だの補填しろだの勘違いに染まった意見があふれかえることになった。


FXSuit 社はあくまでも FX 業者

ここで重要なのは、FXSuit 社はスワップ金額が大きいサービスを日本人向けに提供しただけである。3すくみスワップなんて少しも売りにしていないし発言すらしていない (同様の業者である GemForex はこれを売りにしていた)。つまり、一部の日本人が勝手にその制度を悪用し、「3すくみスワップ」なるものを始めていただけである。そして、フルレバレッジというハイリスクな状態で勝手に損失を被ったことに対して騒ぎ立てているのである。

夏時間からの切り替えをシステム停止を行わずに実施したことは、FXSuit 社の不注意と言えるだろう。ただし、これは単なる不注意程度の話である。フルレバレッジで週越しのポジションを持ち、挙句の果てにそのリスクのすべてを FXSuit 社に押し付けようとする日本人顧客はお門違いも甚だしいのである。

もちろんこの背景には、勝手な3すくみトレードにより「損失が出ない」という脳を作り上げたことが大きい。普通の業者でフルレバレッジで週越しでポジションを持ち越せばどんなリスクがあって、誰が悪いのかは明白である。FXSuit 社は銀行ではない。FX 業者なのである。口座も預金口座ではない。トレード口座だ。FX業者は預かった資金は守っても、顧客自身がマーケットに晒したポジションは、顧客自身が責任を持たなくてはならない。たとえそれが残った残高をすべて焼き尽くすことになろうとも。


FXSuitは悪意の連鎖が作った分散型加害者事件

FXSuit, アフィリエイター、利用者のそれぞれの思惑は以下のような感じで、誰一人として詐欺を行っていない。

①FXSuit「スワップ優遇したサービスをつくってアフィリエイトで10%設定すれば欲をかいた奴らがねずみ講式に増えてくれるだろう。手数料を30%に設定して、あとは参加者のリスク判断に任せよう」

②アフィリエイター「理論上ノーリスクといえるだろう。予期しないリスクは参加者本人が考えるべきだから、手数料で稼ごう。」

③末端参加者「きっと儲かるに違いないからやろう。最悪、訴訟とかすれば全損ってことはないだろう」「自分もだれか紹介してしまえばリスクヘッジになるだろう」

④収益が出た参加者「適切に行動したんだから詐欺ではないし、利益は自分の権利。負けた奴らは欲こいて口座に入れてたんだからそのリスクの結果だ」

⑤損失が出た参加者「詐欺ってことにすれば誰か動くだろう」「ほかの人が詐欺って言ってるんだから根拠がなくてもいいだろう」「実は根拠ないけどクレカ会社に返金を求めよう。あとはクレカ会社の判断」


それぞれの人に「誰が悪いの?」って聞いたら、自分ではないという言い訳ができるようになっている。


FXSuit のお金は仮想通貨を使ったアービトラージ取引

  仮に FXSuit が意図的に3すくみ状態を許容していたとしたら、その運用資金はどうしていたのか?ということになる。FXSuit は A-Book と B-Book の混合業者であり、一部のお金は自分で運用することになり、その運用益はスワップ利率を超えなくてはならない。

  これは推測であるが、FXSuit は 2019 年当時主流であった、仮想通貨のアービトラージ取引をしていたことが考えられる (注 2)。当時は仮想通貨で簡単にアービトラージ取引 (いわゆる今回の3すくみと同じ) ができたため、大きな資金があればノーリスクで稼ぐことができた。そこで、FXSuit はアービトラージに使用するための資金を調達する必要があったのではないか。仮にスワップ益を顧客に支払うことになっても、差額で利益が出る。

ただし、2020 年後半に仮想通貨マーケットが急拡大し、仮想通貨のアービトラージ取引は急激に失速した。当時同じ手法で儲けていたジュビリーエースも、全く同時期 (2020 年 10 月) に破綻したことからもわかる。

FXSuit の背景には、この仮想通貨アービトラージ取引があったのではないだろうか。

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注1:
 saekinomao が FXSuit と直接交渉したと言っているのは本人談であり、実際はアフィリエイト目的のインフルエンサーになるためのウソである可能性が高い。事実、「アキラ」というアフィリエイト目的のウソトレーダーが同じ時期に存在しており口座番号も saekinomao 同様に特異であった。本当に3すくみで儲かるなら勧誘の必要はない。また、勧誘さえすれば報酬があるので FXSuit と手を組む必要もない。

注 2:
 仮想通貨アービトラージ以外にも、バックにある複数のブローカーをうまく組み合わせてスワップアービトラージを行う方法もある。ただし、これほどまで大きな差が出る組み合わせが常時存在しないといけないことになるので難しいのではないか。特に各国こぞって金利を下げていたので、それは考えにくい。


補足:今も出回っているデマ情報

(1)FXSuit は出金できない、出金トラブルが多い
  ⇒ これはデマです。実際に出金できなかった人はゼロです。2020/10/26 以降口座からお金が無くなった人がいるだけです。2020/10/26 より前に出金できないと言ってた記事はありません。エコーチェンバーですね。

(2)FXSuit は半年間出金できない
  ⇒ 正確には、「出金できるが初回入金から半年間は手数料30%かかる。それ以降は手数料無料」が正解

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